ブルゴーニュの味わいトレンド・レポート

 帰国報告

 1 重厚さから、エレガンスへ

世界的なピノ・ノワール流行の潮流の最先端を走るのがブルゴーニュ。
今回で個人的にも4回目の参加となりましたが、回を増すごとに参加者は増え、
特に日本人参加者の数と比率は前回より圧倒的に多くなったように思えます。

そして、今回試飲したワインにほぼ共通していることは、凝縮感を極度まで高
めて、新樽を効かせた重厚な味わいから、果実とミネラルなど微妙なニュアン
スの複合化を高めた、エレガントを感じさせる味わいへと造りが変化しつつあ
る、ということです。
もちろん、単に薄くなったのではなく、色合いやタンニンの過度の凝縮が軽減
されて、香や味わいの構成要素の複雑さはかえって深みを増す、内容のある変化
といえると思います。

ニュイ・サンジョルジュやポマールなど、元来タニックな個性を持つ土壌のド
メーヌでは、まだ強い造りも多いのですが、ジュブレイ・シャンベルタンでは、
このエレガント化の傾向を強く感じました。濃厚派の先端ともいえるシャルロ
パンでも、試飲した2005年には、もちろん従前のシャルロパンらしい厚みはあ
るものの、妖艶な柔らかさがより強調されているようでした。

一時よりも、低温浸漬などに頼ることが少なくなったようです。ただし、80年
代と比べれば、遅摘みと収量低下、ノン・フィルターなどにより、出来るだけ
リリース直後すぐに飲みやすい味わいになるような傾向にはあると思います。


2 親しみやすさの2004、完璧な2005

  2004年は8月の涼しさと9月の暑さが特徴の年。03年のような異常気象ではな
く、偉大なビンテージではありませんが、あくまでも真っ当なブルゴーニュら
しさを味わえる年です。全体のタンニンも多くないので、早く熟成する、親し
みやすい味わいの年といえると思います。コント・ド・ヴォギュエの醸造長ミ
レ氏の説明によれば、「8月の涼しさが、酸の背骨を形成し、9月の暑さが、
果実感を強調させた。カビや雹などの多い年だったので、適切な畑仕事、収穫
の際の選別などが、とても重要な年だった」ということです。

ちなみに、3月の時点で瓶詰めまで完了しているところは、まだ少数派で、多
くは4月に澱引きと瓶詰めを行うようです。全般的にコート・ド・ニュイの方が
ボーヌよりも良い出来のところが多いようです。

2005年に関しては、どこでも「まだ樽熟成が始まったばかりだから」と多くを
語りませんが、近年最高のコンディションで、文句のいいようがないような健
全な状態で収穫を行うことが出来た年です。巷の話題は、1999年と2002年より
も良い年となるか、という希望的観測の話です。

3 リュット・レゾネ(減農薬)とビオの増加

 フランス生産者のトレンドであるビオ(有機栽培)については、テロワール主
義のブルゴーニュおいてはとても顕著です。
ビオを天体運動まで考慮に入れて、高々と宣言している、ピエール・モレ、ル
フレーヴ、モンティーユ、プリウレ・ロック、ロブレ・モノなど。(ただし、
モレやルフレーヴでは、畑でのボルドー液や、SO2は、必要量添加している)ビ
オとはっきり宣言していないが、実際にはほとんどビオである、ジョルジュ・
ルミエ、シュヴロなど。そして必要最低限の対処的少量農薬使用のリュット・
レゾネに至っては、フレデリック・ミニュエ、アンヌ・グロを始めとした、一
流ドメーヌのほとんどは、この方法になっています。
実際に畑を見ても、手入れの行き届いた生産家の畑は、よく耕作されてフカフ
カしていると共に、雑草との共生栽培が実践されています。
醸造技術を重視した時代から、畑仕事を重視する時代に変化しています。生産
家にとってみれば辛い農作業の多くなることなのですが、生産家は皆前向きに
取り組んでいます。

4 日本食文化の流行 和食店の増加、ボーヌにも

 
シラクが日本を愛しているからか、どうかわかりませんが、数年前から圧倒的
に増え始めた和食店の潮流が、ブルゴーニュまで押し寄せてきています。

もっとも、中国人やヴェトナミアンがいい加減に運営している数多いパリの駄
店に比べれば、2店開店した「媚竈(びそう)」と「寿司海」は、きちっとし
た日本時によるしっかりとした店で、今回 「媚竈(びそう)」には実際に行っ
てきましたが、本当にしっかりとしていました。(しかもそんなに高くない)
ちなみに媚竈(びそう)のワインリストは、シモン・ビーズの千砂さんや、デ
ュジャックのマダムが口を揃えて、「ボーヌ随一の洗練充実リスト」と賞賛し
ています。
繊細な焼き鳥と、ルミエのシャンボール・ミュジニーはとても良く合いました。


「媚竈(びそう)」
http://www.bissoh.com/

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