16 イタリア・キャンティ界の小泉純一郎?
フォントーディーの改革
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| Fontodiのオーナー G.マネッティ氏 小泉さんに似ている? |
わがまち横須賀から始めて総理大臣が生まれました。
変人の小泉純一郎氏です。
総理大臣になったからといって特に地元に何かをしてくれるわけでもないでしょうし、それを期待している人もほとんどいませんが、横丁のおばあちゃんからタクシーの運ちゃんまで国会中継を聞いて和やかに応援しています。
さて、小泉さんといえば改革の人、改革派と守旧派の葛藤はワインの世界でも同じように存在します。特にイタリアは伝統的なワイン法とそれに戦う人、それにとらわれない人など、造り手の個性の激突が華やかです。
今回はその中でもイタリアで一番なじみの深いキャンティの「改革派の旗手」フォントーディーのお話をしましょう。
現代ワイン醸造の常識では、赤ワイン用の黒ぶどうに白ワイン用の白ぶどうを混ぜて赤ワインを造ることは質の低下を招く事になり、まずほとんどの高級ワインでは禁止事項です。
ところが以前のキャンティーでは、逆に安価な白ぶどう(トレビアーノ種など)を混ぜることを義務化する、というおかしなワイン法がまかり通っていました。
これは醸造技術が幼稚な19世紀に固くて粗々しかった当時のサンジョベーゼを飲みやすくするために有力な貴族が白ぶどうを混ぜて口当たりを滑らかにすることを始めた事によるものでした。
現代の技術では、既に黒ぶどうだけで充分に滑らかで上品な味わいに仕上げることが可能なのです。ただ、安い白ぶどうを混ぜることにより、安価に大量生産が可能になるのです。
安い名ばかりのキャンティが薄くて酸っぱいのはこの白ぶどうの混醸が原因です。
当然、こんな悪法は変えていかなければなりません。
しかし、大量生産の大手業者が主流派のキャンティ協会においてはわざわざ利益を少なくするような事はしたくありません。1980年代以降の技術向上による一部の良心的な造り手を犠牲にしてまでも自分たちの目先の利益を守るために白ぶどうの混醸を義務化し続けてきました。
このままでは、世界的な高品質ワインに伝統あるキャンティが取り残されてしまいます。
ついに良心的な業者は様々な形で立ち上がりました。
小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏が自民党を飛び出したようにキャンティー協会から脱退する造り手たちがいました。彼らは、キャンティーの名を捨ててスーパー・ビノ・ダ・ターボラ(法律で最低の格付けで造る最高級の品質のワイン)を世に出し認められていきました。
しかし、伝統あるキャンティの名誉を取り戻し、キャンティの質を高めることを求めて、キャンティ協会の内部にとどまり、改革を訴える人、つまりキャンティー界の小泉純一郎のような存在がありました。
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| Fontodiの キャンティ・クラシコ サンジョベーゼ100% |
それが、「フォントーディー」なのです。
フォントーディーはサンジョベーゼ100%のワインが素晴らしい品質になることから、法律で禁止されているサンジョヴェーゼ100%で品種配合を公開せずにキャンティ・クラシコとして販売し続ます。協会に対しては、サンジョヴェーゼ100%を認める活動をしました。また、一部の限定品では国際高級品種のカベルネソービニヨンを少しブレンドする、という新しい試みも成功しました。
これらの「とても美味しいキャンティ・クラシコ」は世界的に評価を受けることとなりました。そして、それがどうやらサンジョベーゼ100%だったり、カベルネがブレンドされている、という公然の噂が世界中の愛好家の中で話題になりました。
このフォントーディーの活躍と世界のワイン愛好家達の「世論の高まり」、古いキャンティの不人気からついに守旧派たちも「高品質のキャンティ・クラシコ」を認めざるをえなくなり、1996年ついに「白ぶど
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| Fontodiの キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ ヴィーニャ・デル・ソルボ サンジョベーゼ90% |
うを混ぜなくても良い」という法改正がなされました。
今日キャンティでは、様々な良心的造り手からサンジョベーゼ・ベースの黒ぶどう100%による高品質のキャンティ・クラシコが登場し、価格も\2,000〜\5,000と高級手造りワインとしてはとても良心的な価格帯で楽しめる、お得なワインになりました。
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| Fontodiの フラッチャネロ (スーパー・トスカン) サンジョベーゼ100% |
このようにキャンティの品質向上にキャンティー界の小泉純一郎、フォントーディーの活躍がとても大きな貢献があったのです。
ただし、忘れてはいけません。96年の法律は「白ぶどうを混ぜなくても良い」という内容なので、いまだに大量生産の低質の白ぶどうで間引きした薄っぺらいキャンティが幅を利かせている現状は残念ながら続いているのです。
さて、フォントーディを飲みながら国会中継を見て小泉さんを応援しましょうか?
(ちなみに小泉さんはボルドーのワイン騎士の資格を持っているそうです)
以上参考文献 「イタリア銘醸ワイン案内」 高木 幹太著 青春出版社