18 ボトル差について

シャトー・オーマルビュゼ1998年
同じように見える2本ですが
違う味わいが発見できるかも

 

以前に飲んだ同じワインのはずなんだけどずいぶんと印象が違う、という体験は多くの人があるはずです。

もちろん、本当はまったく同じものでも年月がたって熟成が進んだり、そのとき
の体調が違ったり、合わせる料理が違ったり、温度やグラスが違ったりして違う
印象になる、ということも良くあることです。


けれども実際にかなり違うものが存在することも、現実にあることなのです。

発生原因としてまず考えられるのは、ワインを樽から瓶に詰めるとき。
大きなシャトーやネゴシアン物のワインでは、普通瓶詰め直前に巨大な発酵槽に移して瓶詰めします。この場合は瓶詰め時に味の違いはほとんど発生しません。

ただ、ボルドーでも小規模クラスのシャトーや多くのブルゴーニュをはじめとした手造りの自家栽培ワイン業者たちは、樽から直接瓶詰めをしています。

熟成用の樽からは、一般に300本程度のワインが瓶詰めされます。
樽には新樽や古い樽などはもちろんのこと内部の焼き加減など様々な違った個性が樽ごとにあります。
普通は、瓶詰め前に一度それぞれの樽をブレンドしたりしますが、それでも瓶詰め直前の樽の影響はかなり大きいでしょう。

僕が今まで実際に見た中でとても驚いたのは、ボルドーでも最優秀ブルジョア級シャトーとして高い品質を20年来維持しているCHオーマルビュゼでした。

1990年6月に訪問したとき、まさに瓶詰めの最中でした。
これがなんと1樽ずつ一人の作業員が自転車に空気を入れるような手押しのポンプでワインを抽出していたのでした。
ポンプのチューブの先にはもう一人の人が6本ずつ瓶詰めしています。
オーマルビュゼといえば畑が50ha!ブルゴーニュの平均的な生産家の10倍も広くボルドーでも平均よりやや大きいほうのシャトーです。

彼らに「いったいどのくらいの期間をかけて瓶詰めしてるの?」と聞いたところ、
「そうだね。大体半年位かな?」との答え!
これでは、ボトル差について気にしていてもしょうがない、と悟ったものです。

さすがにこの作業は、1993年ころに止めて、現在では通常の機械による瓶詰めになりました。(1999年に再度訪問)

いずれにしても、フランスの生産家たちはいかに個性的で優れたワインを造るか、ということには大変熱心ですが、ひとつのワインの均質性ということに関してはかなり無頓着です。

以前ビール会社に籍を置いた事のある僕としては、会社が毎週のように全国の工場で造られた同じラベルのビールを試飲、分析して商品の均質度を高める苦労を見てきたためにその価値観の違いに驚くばかりです。

私たちは、かえってこのボトルによる違いをいろいろと楽しんでみるように考えるほうが現実的であり、もうひとつのワインの個性なのでしょう。

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