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最高のガイドブックとは
皆さんは、ワイン専門誌を購読されていますか?
一般の愛飲家の方は、たまに買って読む程度の方が、ほとんどでしょうが、
中には毎号目をサラのようにして、全てのワインのポイントを記憶する強
者の方もいらっしゃることでしょう。
僕は、当店で各専門誌を販売していることもあり、そしてもちろん仕事
としてトレンドを知る意味からも、一通り毎号目を通しています。
ただ、ショップの方針として、自分で責任を持って選ぶということから、
専門誌の評価は、あくまで参考にとどめ、自分の言葉でワインの紹介をす
るようにつとめています。
パーカー95pt!! クラスマン★★★!!! ワイナート98pt!!!などと並べれば、
メルマガも随分ラクになるのですが、それでは自分の価値判断を放棄して
いると思うからです。
そんなことで、いままでは、あまり積極的にWeb上で専門誌のコメントや
評価などを取り上げていませんでしたが、今回特集として全く正反対に
真正面から専門三誌をとりあげ、ワインのセレクションや、コメントの傾向
の違いもわかっていただけるように構成してみました。
今回並べてみて、当然のことながら、三誌に随分と違いがみられました。
ぜひ、ご覧いただき、傾向を良く理解した上で専門誌を読んでいただけると
ワインの理解力も随分と深まると思います。
ワイン王国
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基本的に、しっかりと輸入元の定まった、比較的手頃なワインを中心に紹介。
ワイン評価は、5点満点式で5人のテイスターがブラインド、お手頃価格帯のワインを高く評価しています。
一般的愛好家がわかりやすい内容の紙面になっています。
ワインコメントは、ソムリエ協会の教本のように適切で具体的。これからソムリエ試験などを受ける人には、一番参考になるでしょう。
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ワイン王国誌No26最高ランク★★★★★"超特選ベストバイワイン"
クライン
シラー 赤 California
Cline Syrah
ワイン王国誌No26★★★★★
紫を残したガーネット色で中心部分に黒が見える。香りは第1、第2、第3アロマがバランスよくまとまっている。還元的な印象が強く、デキャンタージュをお勧めする(前場氏)ラズベリージャム、ヴァニラ、スパイスの香りが強く、ボリュームがある。味わいはタンニンが丸く柔らかい。やや高めのアルコールが印象的で、それが長めの余韻となっている(進藤氏) |
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ワイン王国誌No24 最高ランク★★★★★"超特選ベストバイワイン"
ヴァルヴォリッチェラ・クラシコ
セレーゴ・アリギエリ赤
DOC
Valpolicella Classico Superiore
Serego Alighieri
ワイン王国誌No24★★★★★
少し明るめのガーネット色。エッジはレンガ色を帯びている。グラスに伸びるレッグは長く、グリセリンの多さを伺わせる。香りのボリュームはやや控えめだが、はっきりとカシスリキュールや腐葉土の香りが感じ取れる。口当たりは非常に柔らかく全体のバランスも良く、酸の旨みがチェリーとスパイスのアフターフレーバーと共に、心地よい余韻として残る。強めのアルコール感がこのワインの一つのキャラクターでもある。赤身肉のグリエ、食事の後半からは、チーズと共に楽しめるワイン。 |
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ワイン王国誌No25 ★★★★"特選ベストバイワイン"
バルバレスコ
サルティラーノ
赤 DOCG
Barbaresco
Sartirano
ワイン王国誌No25 ★★★★
香りは良く開いており、甘いフルーツ、スパイス、花などの魅力的な香りが主体。味わいのトランスも良く、果実味を中心に酸、グリセリン、きめ細やかなタンニンと非常にまとまりが良い。(渕本氏)
ネッビオーロ100%
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ワイナート
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1999年創刊以来、一貫して高級品志向。
レア生産者現地取材が目玉。
トップクラスのマニアを育成する教科書的役割を果たす。
日本実入荷で現地でも入手困難な生産者が大きく紹介されるので、お客様からの問い合わせには苦労します・・・
でも、半年後にインポーターがこの雑誌情報を基に輸入を始めることもあり、市場拡大に寄与。
採点は、創刊当時は日本初の100点満点法。主筆である田中氏独特の芸術的表現法が個性的。時々、思わぬお手頃ワインが90pt以上に評価されています。
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ワイナート誌No26 92pt
デビルズ・レイアー カベルネ
赤 西オーストラリア州
ワイナート誌No26 92pt
荒っぽさのない、整然とした果実味。良く統制のとれたタンニンとキメ細かく伸びのある酸の、タイトな構造。質感はとてもなめらかで、知的な装いがあり細部にわたって磨かれた印象。スミレ、タバコ、赤い花のきれいな香りは、サンテミリオン的。余韻は長い。
飲み頃:Now〜2015(田中氏)
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ワイナート誌No26 92pt
カレン カベルネ・メルロー
赤 西オーストラリア州
ワイナート誌No26 92pt
上品かつシリアスな、カシス、削った鉛筆、なめし革、ミント、黒っぽい土の香り。ふわーんと広がる夢見心地に柔らかい果実。しなやかなタンニンンと、完全に融合した、オーストラリア最上の酸。凝縮度や力感はそこそこだが、輪郭を強めずとも感じさせる複雑なミネラルが素晴らしい。
飲み頃:Now〜2015(田中氏)
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シャトー ピションラランド 赤Pauillac
2ème Grands Crus Classés
Ch. Pichon Longville
Comtesse de Lalande
ワイナート誌No23 91pt
赤いベリー的な果実味が澄んだ水面に同心円上の波紋を広げ、エコーが長く続くような、細かいディテールを十分に含む、完成度が高いワインだ。精密でいて強いタンニン
と精度の高い酸。しっかりと強いが、暴れを見せず。
飲み頃:Now〜2015(田中氏)
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リアル・ワイン・ガイド(RWG)
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2002年ワイン業界の風雲児的に創刊。
徹底して実際に販売されているワインを飲んで評価する専門誌。
消費者の観点から、まったくインポーター・タイアップ記事を書かず、全て直接購入したワインを、10人ほどのテイスターが採点。
採点は、100点満点。現在評価と将来評価の2本立て。ブルゴーニュ生産者毎の評価が定番、他に毎号のテーマに沿ったワインを採点。
ワインコメントは、テイスターの個性を強く打ち出した主観を重視。ある意味率直極端でわかりやすく、面白い。
コメントは個人のもので大胆だが、採点は複数人で平均を出すためか、意外におとなしめ。
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リアル・ワイン・ガイド No7
今飲んで93pt ポテンシャル95pt
シャトー コス・デストゥルネル赤
St.Estephe 2ème Grands Crus Classés
リアル・ワイン・ガイド No7
今飲んで93pt ポテンシャル95pt
00年のコスは、あのヴィンテージをしてまあまあの出来(90/92)だが、いったい何が起こったのか01年は脱帽モノのすごいワインに仕上がった。モーレツに濃い外観通りの濃〜いワインだが、中身の充実さは、半端じゃない。甘くミネラリーで塩っぽく、膨大な良質の酸とタンニンは更に膨大な素晴らしい果実味にマスキングされて目立たないほどだ。はっきり、くっきりした輪郭をもつ味わいの着地点の良さと集中感、味の多層感とどれをとっても秀逸。01年左岸の頂点に立つか。(徳丸氏) |
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リアル・ワイン・ガイド No9
今飲んで89pt ポテンシャル91pt
ヴォーヌ・ロマネ オー・ブリュレ 1級赤
ドメーヌ ミッシェル・グロ
Vosne-Romanée Aux
Brulées
リアル・ワイン・ガイド No9
今飲んで89pt ポテンシャル91pt
今からこんなに美味しく飲めて良いの?優しい、柔らかい、丸い。こんな言葉ばかりが頭に浮かぶワイン。大柄でもない、パワフルでもない、それなのに、この迫ってくるような完成されたバランスというのは飲んでみれば誰でも理解できるでしょう。90年代になってイマイチといわれたりしているけど、02はとても良い造りですよ。凝縮した部分が重さにも濃さにも振れず、繊細さとバランスで味わいを感じさせてくれる、綺麗なワインです。(
藍原氏)
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リアル・ワイン・ガイド No7
今飲んで91pt ポテンシャル93pt
ブルネロ・ディ・モンタルチーノ サルヴィオーニ
赤 DOC Brunello di Montalcino La Cerbiola
リアル・ワイン・ガイド No7
今飲んで91pt ポテンシャル93pt
トスカーナでも秘酒的存在のチェルバイオーラ。4年の樽熟規定が酒質に大きな影響を与えるブルネッロだ。それを知らないと凝縮感・熟成感に付随する愛すべき高尚な卑猥さも否定的にとらえかねない。しかし温かく包み込んでしまう優しさと外向的な気安さがこのワインを近しいものにしている。ブルゴーニュのグラン・クリュと同等に扱うべき気品と複雑性、個性がある。数年間貯蔵すると本質に出会えるだろう。(原氏)
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これまでに何回も起こったワインブーム。過去における最後の大きな波は、
1995年から1997年までの赤ワイン(ポリフェノール)、ソムリエ(田崎真也)
を中心にした流れでしょう。
でも、その時と現在の大きな違いは、今回ご紹介した専門三誌が98年以降に
創刊されたことです。リアル・ワイン・ガイドに至っては、一般的なワイン
熱が下がっていた2002年の創刊。それが着実に定着してきています。
それ以前は、唯一「ヴィノテーク」だけが専門誌。実は今回、ヴィノテーク
も取り上げたかったのですが、ヴィノテークと他三誌は大きく異なります。
ヴィノテークはワイン業界ニュース的な要素が強く、基本的にワインを採点
する、ということをメインにしたものではありません。
最近田崎真也氏の関わりが強くなってから、田崎氏のワインコメントが載る
ようになりましたが、それも巻末に20アイテムほどが掲載される程度で、あく
までイヴェント報道的要素が強い専門誌です。(それゆえ唯一の月刊誌なので
しょうが)
もちろんこれは、決してネガティブなことではありません。 2年に1回開催
されるブルゴーニュのプロのためのイヴェント「グラン・ジュール・ド・ブル
ゴーニュ」に僕は3回連続して参加しましたが、ここで必ずお会いするのは、
ヴィノテークの主宰者有坂芙美子さんです。有坂さんは、世界中で開催される
ワインイベントのほとんどに参加されているのでは、と思えるように飛び回っ
ています。
今世界で何が起きているか?(もちろんワインの世界の中で)を知るためには
ヴィノテークが一番でしょう。
ワインブームの時、現在の専門誌を補填する役割を果たしたのが、マガジンハ
ウスの「ブルータス」でした。3号連続でワイン特集を組み、それが全て完売
する、という快挙で、その時は、「ワイン特集を組めば、部数が伸びる」とい
う神話が出版界に生まれました。
このブルータスに含まれていたのが、「3000円以下でおいしい赤ワイン」などの
ランク付け。 そして、このころ話題となっていたのがワインを100点満点で大胆
に評価するアメリカのジャーナリズム。
ワイナートやリアル・ワイン・ガイドが100点満点で次々とワインの採点を始めて
絶対的な価値観を訴えてきたのも当然の流れといえるかもしれません。
「実際は何がどれだけおいしいのか?」に大胆に答えるメディアを、日本の消費
者も、待ち望んでいた、ということでしょう。
話が少し脱線しますが、僕が個人のページで「ワインテイスティングの技法」
http://www003.upp.so-net.ne.jp/wine/
というページを作ったのは、まだこれらワイン専門誌ができる少し前の1997年
12月でした。これは、フランス留学を終えた帰国直後にフランス食品振興会の
ワインセミナーで、日本の有名なソムリエ氏が「亜麻色髪で青い目の少女が、
草原を駆け抜けるようなワイン・・・」と全く意味不明なコメントをして唖然
としたことが一つの大きな契機でした。当時はワインを語る、ということが、
神聖化されていた、理解不能な世界でした。(というよりも、理解していなか
ったのでしょうが・・・)その意味でワイン自体を正確に語る専門誌の登場は
愛好家にとって、より身近にワインを理解する大きな意義がありました。
最近では、ワインを購入されたお客様から随分客観的なコメントが寄せられた
りして、驚くばかりです。
それにしても同じ100点満点法でも、ワイナートとリアル・ワイン・ガイドでは、
コメント内容が大きく違います。 ワイナートでは田中氏が独自の世界で、
「赤いベリー的な果実味が澄んだ水面に同心円上の波紋を広げ、エコーが長く
続くような・・・」と読み手に芸術的な理解力を求める(しかし、意味不明で
はない)のに対し、リアル・ワイン・ガイドでは「今からこんなに美味しく飲
めて良いの?優しい、柔らかい、丸い・・・」と、とってもストレート。
複雑な和音構成でファンタジーの世界を描くドビュッシーと、コード三つで攻め
まくる、ロックン・ロールのような違いです。
専門誌が4誌も存在する現在の状況は、情報の量的にも質的にも、それ以前のブー
ムとは、成熟度が随分と違っていると思います。
ただ、ワインだけでなく、私たち日本人はメディアの報道をそのまま教科書のよう
に信じてしまう傾向が強いように感じます。「不偏不党」なんて看板でしかなく、
メディアの記事には、伝える側の主張が存在します。また、「タイアップ記事」
という企業がページを買い取って商品の記事をあたかも普通の記事であるように
作られるページも沢山あることを知らなければなりません。
専門誌の言葉は、神の言葉ではありません。もちろんその多くは、経験を積んだラ
イターたちが責任を持って書いた有益なものですが、それに頼りすぎて、自分自身
がおいしさに対する判断を放棄してしまっては本末転倒です。
専門誌を参考にしながら、何よりも楽しむのは個人なのだから、自分自身で価値を
発見する喜び、単純に点数だけでなく、それぞれの個性を発見して楽しんでいただ
けるようになれる一助でありたい、と専門店の立場で願っています。
ちなみに、専門誌の購読はこちらから
   
三誌の編集部の方に、本当に感謝します。
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