
その8 「眠れる森のワイン姫」(解答篇)
別の並べ方? そんなのあるのかよ? 5人の顔から笑みが消えました。時間はどんどん過ぎていきます。あっという間に時間終了のベルが鳴り、解答用紙が集められました。
Bシャンベルタン ワインの文字数の少ない順番に並んでいるのだ。第1問では、例えば、カロン・セギュールみたいに、『・』で単語を繋いであったが、第2、第3問ではそれがないというのがヒントなのじゃ。 ワインの魔女は、バルタン星人笑いをすると、採点していた大臣の方を向きました。正解者がいたのでしょう、大臣の顔は喜びに輝いています。 「一人だけ正解だ。でかしたぞ!」 そう言うと、ル・パン1982年をその若者に与えました。みんな、羨ましそうに見ています。 「さあ、願い事を口にして、王女にキスをしてくれ」 若者は、安らかな王女の寝顔を見ると言いました。 「王女の目を開けて下さい」 若者は、王女にキスをしました。その瞬間、王女が、パッチリと両目を開たのです。王様も大臣は大喜びです。 「でかしたぞ。褒美に余の領地を与える」 そのうち、おかしなことに気付きました。王女が起き上がる気配がないのです。それどころか、王女は、目を開けたまま、スヤスヤ眠っているのです。鼻をぼりぼり掻くと、いびきをかき始めました。目を大きく開けてゴーゴーいびきをかく様子は、とても不気味です。その上、時々、ニタリと思い出し笑いをするので、何とも恐ろしい情景です。それを見たワインの魔女は、ヘラヘラヘラと楽しそうに笑いました。 「残念だったねぇ。『目を覚ませ』ってお願いすればよかったのにねぇ。
魔法使いは意地悪そうにそう言いました。どうやら、ワインの魔女は、初めから呪いを解く気はなかったようです。ですから、「目を覚ませ」とお願いしても、目を覚ますだけで、体は起き上がれないに違いありません。そのときでした。音もなく、星の魔女、水の魔女、木の魔女、雪の魔女が現われました。 「王様、領土を全部くれたら、王女様の目を覚まさせてご覧に入れます。雪が解けるみたいに呪いを解いてみせます」 雪の魔女を押しのけて、水の魔女が言いました。 「王様、領土を半分くれたら、私が王女を元に戻します。『水泡に帰す』という感じで」 水の魔女を突き飛ばすと、木の魔女が王様に言いました。 「王様、領土を4分の1くれたら、私が元に戻してあげましょう。私は、木の精なので、全てを『気のせい』にして、なかったことにしますよ」 あまりの寒いギャグに国中が瞬時に凍りついてしまい、全員が冬眠に入ってしまったということです。 めでたくない、めでたくない。
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作者 葉山 考太郎(はやま こうたろう)
湘南地区在住といわれる謎のワインライター。 |