今日は、この会場とボルドーの紹介をみなさんにしたいと思います。この会場は、ボルドー市が国際展示場を開催するために建設した施設で、市内の中心部から15分ほどの所にある巨大な会場です。ちょうど東京で言えば、お台場の東京ビッグサイトの場所に幕張メッセよりも大きな会場がある、と連想すればよいのでしょう。ちなみに、ここから来るまで15分ほど市の中心部と逆の方向に車を走らせると、マルゴーの村に入ります。近代的な施設のすぐそばにワインのシャトーと畑が広がるところがボルドーらしいところです。
ここボルドーは、言わずと知れた世界のワインの中心地です。よくボルドーワインを女王、ブルゴーニュワインを王様にたとえられますが、一般的には、より涼しいブルゴーニュの方が繊細でフレッシュなタイプのワインが出来やすく、ボルドーはブドウがより熟したボディーが豊かなタイプが多くなります。ブルゴーニュや多くの他の地域が小規模な農家風の造り手が多いのに対して、ボルドーでは、50haもあるような大きな畑を所有するシャトー(城)が中心になってワインを造ります。普段目にするボトルのラベルに描かれた城が目の前に広がる姿は、訪問者を感激させます。
名物は、お菓子で言えば、日本でも流行のカヌレ・ド・ボルドーでしょう。これはプリンのような形をした焼き菓子で、卵がたっぷりと含まれています。聞いた話によれば、ワインを造るときに樽熟成をさせますが、その過程で不純物を取り除く清澄の作業に、伝統的に卵白を泡立てたものを使用します。その際に残った大量の卵黄を使ってお菓子としたのがこのカヌレの始まりだそうです。
ボルドーには大きなジロンド河があって、また大西洋にも面しているので、魚介類も豊富です。魚介類では、まず、牡蠣が名物です。牡蠣と言えばここフランスでも11月から2月の間の寒い時季に食べるのが一般的ですが、名物のためか、この会場でも、パーティーにもよく出されています。アンコウや、ウナギ(!)もここの名物です。グラーヴの辛口白ワインに合わせてよく食べられます。肉類ではなんと言っても仔羊、特にポイヤック産の仔羊が有名です。シャトームートンの名前の由来にもなっています。ですから、この仔羊(アニヨン)にはポイヤックというのがフランスの伝統的なワインの相性と言われています。
今回宿泊したホテルは、残念ながらインターネットに接続できる環境ではありませんでした。フランスは日本よりもパソコンの環境は遅れているので、なかなか困難です。しかしながら、ここVINEXPOの会場は、世界的な博覧会会場なので、世界中のビジネスマンたちが接続できるように環境が整っています。ビジネスセンターでデスクと電源を借りてこうやってWEBページの作成が出来、フランステレコムのブースで電話回線を無料で使用して接続が可能なのです。パソコンを持ってきていない人でも端末の使用が出来てメールのチェックなどをしています。フランステレコムさんありがとう!!
VINEXPOに来ると、様々な業者からディナーのお誘いを受けます。ただ、今晩だけは、僕と山田氏にとって大切な約束がありました。山田氏は以前フランス料理のシェフを目指してフランスでもっとも有名なトロワグロというリヨン郊外のレストランで修行をしたことがありました。今晩はその修業時代の仲間のベルナールがマルゴーで有名な高級レストラン
"Relais de MARGAUX "でセカンドシェフとして働いているので、彼の所に食事をする約束をしていたのです。僕も10年前に彼がポイヤックのシャトー・コルディオンバージュというシャトーレストランで働いているときに彼のアパートに山田氏と1週間居候したことがありました。
10年ぶりの再会が出来るのです。
そんなことで、今日は会場を早めに抜け出してマルゴー村に向かいました。ボルドーからマルゴーに向かう道は、市内を抜けても10kmほどは沼地のようなところで所々に馬や牛がいる牧草地があるだけです。ジロンド河沿いの湿地帯なので、ブドウ栽培には向かないようです。
それが10kmを過ぎたところからLabardeの村に来たところで、土壌が変わり、急にブドウ畑が開けてきます。この村では、1855年のグランクリュ3級の有名なシャトー・ララギューヌがあります。ACとしてはオーメドックの地区です。次のMacau村を過ぎるとマルゴーのコミューンに入ります。
この地区でもっとも高級で有名なホテルレストランが"Relais
de MARGAUX "なのです。ブドウ畑を延々と進むとそこにきれいな噴水の庭のある大きな建物が見えてきました。
きれいなエントランスを左に曲がるとレストランに入ります。そこでギャルソンにベルナールの紹介で、と告げると「オォ!」と一言。全てが分かった様子でキッチンの中に連れていってもらえました。ここフランスでは、キッチンの中に招待されるのは最高の名誉です。友達が働いているとはいえ、本当に光栄な事でした。
キッチンの中にはいると、奥で仕事をしていたベルナールが駆け寄ってくれました。まず山田氏と何回も抱き合って背中を叩き合っていました。やはり厳しい修業時代を共にした仲間との10年ぶりの再会は特別なものなのでしょう。忙しい時間帯なので、早々に引き上げましたが、シェフのドミニク・グレルも紹介してもらい、本日は完全にシェフのお任せメニューとなりました。
一皿目はオマールエビのポシェ、豚の網油包み焼きセップ茸添えバルサミコ風味、とても繊細な味わいです。ジューシーなオマールの味が口の中全体に広がります。量的にも手頃でした。
二皿目はアンコウのグリエ香草添えバターにバルサミコを加えたサッパリとしたソースが疲れの見えてきている我々の胃に優しく応えてくれます。この2つの料理には、1996年産シャトー・カルボニュー白をあわせました。爽やかな酸とふくよかな果実味がよく料理に合いました。実は、月曜、火曜日のレセプションディナーでは2日とも巨大なフォアグラだったので、贅沢な話ですが体全体がフォアグラ状態だったのです。口直しに本当に小さなシャーベットが出た後にいよいよメイン料理です。メインはピジョン(野鳩)のロティーでした。これには、我々とソムリエが相談して当地マルゴーのグランクリュ、シャトー・ローザンガシー1966年!をあわせました。繊細なピジョンの肉の味わいと、静かに熟成された繊細なマルゴーワインの味わいが絶妙なハーモニーを創りました。
デザートにはシャーベットと木の実の果実盛り合わせが出ました。
いずれにしても全体にとても繊細で軽めの味わいでした。後からメートルが出てきて「本日はいかがでしたか?じつはキッチンを訪問したときにシェフが我々の顔を見て、少し疲れが見えたのと、VINEXPOの3日目を考慮してメニューの内容と量を工夫しました。」と答えたのを聞いて本当に驚きました!たった5分程度の訪問でそれだけのことが出来るシェフは、やはり伝統あるフランス料理の本当のシェフなのです。
フランス料理の奥深さを知ったようなディナーでした。
6月17日へ
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